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事例紹介

コンサルティング

「ソリューションを売るための提案ではなかった」──認知率向上、その先の組織づくりまで 

ネット証券市場では、上位2社の存在感が際立つ。ブログやSNSでも「まずはこの2社から」と語られることが多く、他社が検討の候補に入るまでには距離がある。

マネックス証券株式会社は、その状況をどう変えるかという課題を抱えていた。当社取締役の貴志が前職時代からご支援をはじめて3年。プロモーションエリアの認知率は着実に向上し、いまでは社内の別プロジェクトにおいても相談をいただくようになっている。

3年間で何が起きていたのか。マーケティング部長の益嶋様にお話を伺った。

企業名

マネックス証券株式会社

事業内容

インターネットを通じた証券取引サービスの提供

支援期間

2023年〜(※)

支援領域

戦略設計/認知プロモーション/メディアプランニング/調査・分析/オフサイト・組織支援

取材対象者

マーケティング部 部長 益嶋 様

※本取り組みは現担当者(ohpner取締役 貴志)の前職在籍時に始まったものです。ohpner参画後も担当は変わらず、支援を継続しています。


Point

課題

上位2社が「口座を開くならこの2社」と語られる市場で、そもそも検討の選択肢に入れてもらえていなかった。認知向上のような上流の取り組みを、戦略的に行った経験もなかった。

取り組み

Web動画のスモールスタートから、エリアを絞ったテレビCMへ。調査・戦略の設計からメディアの選定・実行・効果検証までを一貫して担当。3年目には新規プロジェクトの合宿設計・ファシリテーションも。

成果 

プロモーションエリアの認知率、さらには検討意向率が有意に上昇。社内には新たな共通言語が生まれ、メンバーが自ら企画を立ち上げるようになった。


Interview

「口座を開くならこの2社」ー 検討の土俵に上がれていなかった

──まず、御社の事業と益嶋様のご担当について教えてください。

私どもは、いわゆるネット証券の業界で事業を展開しています 。営業担当がお客様を訪問する対面証券とは反対で、お客様ご自身にインターネットでお取引いただく。どちらかといえばインフラを提供している会社です。その分、取引にあたってのコストは安くご提供できます。

私はマーケティング部を担当しています。認知の向上やブランディングといった上流から、ランディングページや運用広告といった獲得の部分、お客様になっていただいた方へのキャンペーン企画まで、プロモーション領域はほぼ全部ですね。

──2023年7月にマーケティング部長に就任されたと伺いました。当時、どのような課題がありましたか。

着任して業務の説明をしてもらっている中で、我々の認知度をもっと高めなければいけない、というのが大きな課題として見えてきました。

ネット証券は、業界のリーダーである2社がかなり大きなシェアを持っています。YouTubeでもブログでも「そのどちらかで口座を開いておけば問題ない」という発信のされ方をしていて、世の中でもそういう認知形成がされてしまっている。そもそも認知を上げないと、お客様が取引をする選択肢に上げてもらえないんです。

──社内だけで解決するのが難しかった理由は。

我々はこれまで、認知を上げていくような上流部分の戦略的な取り組みが不足していたと考えています。実際進めるにしても、あまりやったことがないので、ちゃんと成果が出るんだろうか、お金がすごくかかってしまうんじゃないだろうか。その辺りの不安はやはりありました。

課題の言語化から ー 戦略・戦術・実行を一貫して任せた理由

──お取り組みが決まった経緯を教えてください。

私が着任する前のことなんですが、何社かの代理店さんに課題意識を伝えて、コンペのようなことをやらせていただいたんです。その中で、いただいたご提案が我々の要望に一番マッチしていた、ということで取り組みが始まりました。

ご提案のセンスがすごくよかったと聞いています。それと、動いていただくときのスピード感がものすごくスピーディだったと。我々は小さい会社なので、スピーディにいろいろやっていきたいところがあって、かなりマッチしたんじゃないかなと思います。

──益嶋様が最初にお会いしたときの印象は覚えていらっしゃいますか。

お話ししていて、話が通じやすいというか、意を汲んでいただきやすいというか。言い方が正しいか分からないですけど、波長が合うというか。すごくいい感じでやっていけそうだなと思ったのを覚えています。

──支援が始まってから、どのような役割を任せていただきましたか。

我々が抱えている課題を、率直にすべてお話しするんです。ただ、我々も自分たちの課題をクリアに細かく言語化できるかというと、そういう感じでもないんですね。

そこを、我々が話した内容から課題を抽象化していっていただいて、その課題にはこういうソリューションを当てるのがいいんじゃないか、という戦略を立ててくださる。納得してその方向で行きたいという話をすると、今度は具体の戦術になる。こういう配信量でいきましょう、この配信面でいきましょう、と。提案と実行の両方を担ってくださっていたという感じでした。

進んでいた企画が白紙に ー そこから生まれた替え歌CM

──最初の取り組みは何から始まったのですか。

まず、いきなり大きなお金は使えないというのがありました。社内での合意、経営陣への説明も含めて、スモールスタートが必要だったんです。小さく始めて効果を確かめて、確かめられたら投資の規模を増やしていく。

なのでテレビではなく、Web専用の動画を作るところからスタートしました。お客様に調査をすると、親しみやすさや専門性が高そうといった価値が強めに上がってくるので、そのあたりを提案に盛り込んでいただいて。劇的な効果が出たという感じではなかったですが、ある程度の効果は見られたので、この方向性で続けていこうと。

──規模を上げる段階で、想定外のことが起きたと伺いました。

当初はタレントさんを使ってクリエイティブを作ろうという話をしていて、タレントさんの選定もかなり進んでいたんです。ただ当社内でちょっと色々ありまして。かなり話が進んでいたのに、企画が白紙になってしまったんです。

これは、こちらの都合でご迷惑をおかけしてしまった話なんです。後ろ側のクリエイターの方々にも、すごくご迷惑をおかけしたんだろうなと思います。

ただ、そういうご迷惑をかける中でも、いろいろ調整してくださって、大きな波が立たないようにしてくださったことにもとても感謝しています。

──そこから、どのように立て直したのですか。

タレントさんを起用するとなると、会社のブランドイメージの議論が生まれやすい。そういうのも含めて、タレントさんじゃないものの方が進めやすかったというのもあって。企画の組み直しも、あわせてご提案いただきました。

そこで出てきたのが、誰もが知るロックバンドの楽曲を替え歌にしたCMという案でした。本当は、予算がたくさんあれば一流のタレントさんを使うほうが効果は大きいのかもしれません。でも、そういう状況にはない。

限られた条件の中でも、お客様にちゃんと印象に残るCMを作らないと効果は出にくいと思います。ありふれたCMを作っても、皆さん覚えてくれない。 じゃあどうやったら人々の脳に覚えていただけるかを工夫していただいたのが、替え歌CMでした。音楽って、すごくいいんですよね。みんなが知っている曲は耳にも残るし、印象にも残りやすい。

認知率、検討意向率が有意に上昇ー 数値以外の変化も

──取り組みの成果はいかがでしたか。

調査いただいた結果、CMを重点的に行った中京地域での認知度が、この数年で着実に増えてきています。もちろんCMの効果もあれば、提携先のチャネルに載せてもらったとか、複合的なものもあります。ただ、特にCMをやっている中京地域では検討意向率が有意に上昇してきているので、本当に大きな成果だと思っています。

──口座開設への影響は。

理想としては、認知を上げたことで獲得できる口座も増えていかないと、最終的にはあまり意味がないと思っています。口座開設数自体もおかげさまで大きく増えてきていますが、まだまだ課題も残っています。

──数値以外で、変わったと感じることはありますか。

認知の取り組みは、当たり前ですが一朝一夕に叶うものではなくて、継続して積み上げていかなければいけないものだと。その共通認識が社内でもある程度持たれるようになった。 これはすごく、やってよかったなというところです。

「我々だけではたどり着けない答え」ー 合宿が残した共通言語

──2027年1月から、未成年でも利用できる新しいNISA制度が始まります。この領域でも相談されたと伺いました。

証券業界にとっては大きなチャンスなので、各社が獲得に動く領域です。ただ、こういうときにやりがちなのが「とにかくキャンペーンをやって獲得を増やす」ということなんですね。それはもちろん必要な営みなんですけれども、それだけではなくて、もっとコンセプチュアルに、マーケティングの教科書に出てくるような企画設計から実行までしていきたいと。

そして部の担当メンバーにその経験をしてもらって、彼らのスキルアップにもつなげていきたいと思ったんです。我々だけではたどり着けない答えに、リードしていただければ辿り着けるんじゃないかと思って、ご相談しました。

──どのようなアドバイスがありましたか。

ブレストを含む議論は、いつもの会議室ではなく、環境を変えて自由なアイデアが出やすいところでやったほうがいい結果が出ることが多いですよ、と。それで鎌倉のレンタルスペースを借りて、プロジェクトメンバー10名ほどで丸一日の合宿をやりました。

そもそも我々が会社として、お子様向けの施策に取り組む意義があるのかというところから深掘りしてくださって。でも一日の最後には、「こういう理由でやっていく必要があるよね」とか、「会社としての過去の取り組みとこう紐付くから、そこも使いながらやっていくのがいいよね」というところまでたどり着きました。

──社内だけで実施していたら、同じ結論に至っていたと思われますか。

全然たどり着けてないんじゃないかと思います。

──合宿を経て、何が残りましたか。

鎌倉での一日に加えて、後日オフィスの近くで半日。合計1日半ほど一緒に考えを共有したので、共通認識とか共通言語みたいなものができたんです。

たとえば、ハイドリーム/ロードリームという考え方を紹介してくださって。このままやっていくと普通はこういう結果になる、まったくやらなければ最悪どうなるか、それがロードリーム。やりたいことを全部やり切れたらどうなるか、それがハイドリーム、と。最近も「これだとちょっとロードリームだよね」みたいな会話が出るようになったんです。

それと、あの合宿を起点に、メンバーが代理店さんが作るようなマーケティングプランを作り上げてくれたんです。今それを実行に向けて動いていて、より効果を上げるためにどうやったらメディアに取り扱ってもらいやすいか、といったことをご相談させていただいている感じですね。

鎌倉での合宿のご様子

ソリューションを売るための提案ではなかった ー これからの全国展開へ

──3年のあいだには、一度体制が変わった時期もあったと伺いました。

そうですね。それでも改めてお声がけをして、今の形に戻していただきました。あんまり属人的になるのはよくないんだと思うんですけれども、今のチームにすごく魅力を感じているというか。僕らとしては本当に、ずっといていただきたかったんです。

──他社と比べて、違いを感じる部分はどこですか。

大きな会社さんとお話しさせていただくときは、そのソリューションを売るためにこの話をされているんじゃないかなと、本当にそうかどうかは別にして、感じてしまうことがあるんです。こういう調査ができて、こういうツールがあって、これを使っていただければこんなことができる、と。それって正直、我々が持っている課題感とずれてませんか、みたいな。

ohpnerさんだって企業なわけで、営業的な側面を含めた提案ももちろん入っているんだと思うんです。でも、それをあまり感じさせない。大切なお客様、パートナーとして捉えていただいて、伴走してくださっている。だからこそ、信頼関係を持ってやらせていただいているなという感じですね。

それと、必ずしも契約内のトピックではないことでも、相談させていただいたときに我々が求めることのヒントをくださる。スピード感もすごくて、今週も見積りを2、3日でいただきました。大きな会社さんだったら、プラス1週間は普通にかかっている話だと思うので。

──今後、期待されていることを教えてください。

大きく方向性を変えるということはなくて、この数年ご一緒していることをよりスケールさせていきたいというのが大きいです。9月から新しいクリエイティブでまた大きく配信していきますので、それによって口座開設にもプラスに効いてくるよねというのが分かってくると、より全国規模に広げていける。同じように展開すれば、バラバラにやるよりは成功する確率がだいぶ高いと思いますので。

──最後に、あらためてohpnerはどのようなパートナーだと感じていらっしゃいますか。

パートナーとしてとても信頼しています。特にありがたいのは、きめ細やかなコミュニケーションですね。我々のニーズを汲み取っていただく力、そのニーズに合わせて課題を解決するご提案をいただけるところ。そこがすごく秀でていらっしゃると思います。

あとは、広く深いマーケティングの知識と、エリアプランニングの知識。貴志さんはもともとデジタル領域のご出身でデジタルの知識もおありで、その後マスの知識も持たれて、それぞれを組み合わせたご提案をいただけるというのも大きいところです。

様々な能力という点では、大きな会社のコンサルにまったく負けていない。むしろクオリティが高いんじゃないかと、本気で思っています。

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